今年の4月から6月にかけて放送されたTVアニメ「東のエデン」の続編が、今月と来年1月の二回に分けて劇場公開となる。
TV版では何 となく物語が一段落したところで終わっていたが、実際にはまだ数多くの謎が残されていることは、ファンの皆さんならよくご存じだろう。劇場版ではそうした 謎が次第に明らかになる一方で、滝沢が記憶を消して失踪したり、今まで顔を見せていなかったナンバーのセレソンが登場したりとさらなる新展開を迎える。
テンポの良さと練られたストーリーは劇場版でも健在で、特にキャラクターそれぞれの思惑が絡み合いながらたたみかけてくるクライマックスの迫力は相当なもの。第二部への“引き”としてはケチのつけようもない。
とはいえTV版でいちおうの大団円を迎えているため、そもそも続編にはそれほど食指が動かないという方もいるかもしれない。しかし、ここまで滝沢と咲の物語を追いかけてきたファンならば、これを見ない手はないと断言したい。
唯一の難点は、本作が完全にTV版の続編として制作されているため、過去作から通して見ていない方には何が何だかわからないということだ。なので、ここからは物語全体の概要を簡単に説明したいと思う。
舞台となるのは、ほんの少しだけ未来の日本。卒業旅行でアメリカに出かけた森美咲が出会った男・滝沢朗は、セレソンと呼ばれる12人の日本代表の一人で あった。彼らが手にしているのは、Mr.OUTSIDEなる人物から与えられた、100億円分の電子マネーがチャージ済みの“ノブレス携 帯”。セレソンには、その金を使って日本を正しい方向へ導くという任務が強制的に課せられているのだ――。
設定だけ見ると かなり破天荒にも思えるが、実際にはそうしたSF的要素よりもむしろ風刺的な要素が強い作品である。現代の日本が抱える「ニート問題」や「日本人の事なか れ主義」、「腐敗した政治」といった様々な社会問題に真っ向から鋭く切り込み、特にニートを単純に悪として捉えない神山監督の姿勢には好感が持てる。
劇場版でも、作品の根底に流れるそうした精神はまったく変わっていない。セレソンたちが、あるいは咲が所属する「東のエデン」メンバーたちが劇中でぽつりと口にする言葉は、現代の日本人が目をつぶってやり過ごしてきた部分をざっくりとえぐり出してくる。
日本という国をどうしていくべきなのか。また、自分はどのように生きていくべきなのか。大人になろうとしているすべての若者に、ぜひ一度は見てもらいたい作品である。



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